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2020年8月10日月曜日

魏書 荀彧伝 10(現代語訳)~荀彧万歳亭侯に!自分の功績を讃える上奏文は献帝に通さなかった荀彧|橘花美郁三国志☆




魏書 荀彧伝 10(現代語訳)~映画、漫画、アニメで基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたいときは正史がおすすめ♪




こんにちは!三国志アナリストの橘花みいく(たちばなみいく)です。

この記事は、

●映画、アニメ、漫画で基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたい
●原典読みたいけど漢文の知識ゼロでもだいじょうぶかな 
●日本語でも難しいのはイヤ、空き時間にサクッと読めるライトなやつが読みたい

そんな方におすすめです。
そんなエピソードあったんや~そういう解釈もあるんや~と楽しんでもらえたら幸いです。


橘花美郁について

ファン歴は30年ほど

イラスト投稿や同人活動、三国志関連サイト、自主アニメも作っています。荀彧伝現代語訳のサイトも運営しています。

私が「みいく流解釈」でわかりやすく解説します☆



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三国志の人物の中でも一二を争うくらい謎が多い、我が最愛の荀彧様についてまとめました。曹操のお気に入りで常VIP待遇なのになぜ不仲説?
正史の現代語訳と私みいくの注釈つきで、演義では描かれない荀彧様の横顔にうっとりしながら素顔にしっぽり密着したいと思います。続けて読むと、きっとあなたも荀彧様の虜に…❤︎
では紐解いていきましょう




魏書 荀彧荀攸賈詡列伝  続き

203年、荀彧万歳亭侯に



建安8年(203年)荀彧40歳の時、曹操は荀彧の前後の功績を記録し、上奏し万歳亭侯に封じた。

裴松之の注に曰く、曹操が献帝に上奏した文章が残っている。


「慮は功のはじめ、謀は賞の本(もと)たり」と申します。戦場での功績は戦略上の功績には及びません。多くの戦いに参加し武勲をあげることは、国政の参画には及びません。
侍中・尚書令の荀彧は若い頃から 徳を積み過ちを犯さず、この乱れた世に 忠誠を心がけ世の安定に力を尽くしてまいりました。私は義兵をあげて以来、この荀彧と力を合わせてまいりました。彼の意見、計画は常に成果をあげてまいりました。私が実績をあげることができたのは荀彧の働きによるものです。

特に陛下が 許にお移りになりここを都とするにあたり、 荀彧はお側にて 忠勤に励み、薄氷を踏むような注意深さで仕事をこなしてまいりました。

天下が安定したのはまさに荀彧の功績です。彼に高い爵位を与え、最大の功労者であることを明らかにして頂きたく存じます。」

荀彧は自分は戦場で功績をあげていないとして、爵位を受け取ることを 固辞してこの上奏文を献帝に通さなかった。そこで曹操は荀彧に手紙を送った。



「君と行動をともにして以来、朝廷で君がしてくれた補佐、人材の推薦、進言してくれた内容、どれほど大きなものであったか。そもそも功績とは戦場だけで立てるとは限らない
。どうか辞退しないでほしい。」

ようやく荀彧は爵位を受けた。





荀彧は自分は戦場で功績をあげていないとして、爵位を受け取ることを 固辞してこの上奏文を献帝に通さなかった←功績は戦場だけやと因縁つけてきた武将誰やねん???




みいく謂えらく、こんなに荀彧を意固地にさせるほど、因縁つけてきた武将誰やねん!
あいつか、きっとあのやろうだw


曹操軍団全員が全員仲良いわけないもんな。荀彧が身内以外では最古参の人間。
成績を張り合ったり、あいつあんまり動いてないけど給料高くてずるいなとか。先に出世されてたまるかとか。そんなのに一個一個神経イライラさせられつつ、戦乱を収束させ文学の方にシフトしていった功労者なのに。



おまけに自分のやってきたことを公表すればいいのに隠す意味。なんかの古典で「そんな功績をわざと隠すようなことをしたら、誰も君の手柄だと気づかないぞ。」「知るか」みたいな問答があるんだけど。(荀子だったか韓非子だったか…)何を目指してるんだ荀彧様よ……


しかも万歳亭侯って何?なんか ださ…否、分かりづらく感じる。
優勝バンザーイ、みたいな感じ?

亭侯に封じられるというのは、功績により土地をもらい そこのオーナーになること。土地を管理してくれる雇われ店長(相)を置く。入ってくる租税も自分のものになる。基本給以外に不労所得として収入が得られる仕組み。


よく●●亭侯というのが出てきて、大概は地名+亭侯というパターンだけども、中には名誉職というか地名以外のオメデタイ単語をくっつけるときもあるようだ。

にしてもこの時点で、「千石」は功労者にしては少ないよな。
















2020年8月9日日曜日

魏書 荀彧伝 09(現代語訳)~官渡の戦い、「彧の策するが如し」袁紹軍の内部崩壊は荀彧が仕組んだ?|橘花美郁三国志☆




魏書 荀彧伝 09(現代語訳)~映画、漫画、アニメで基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたいときは正史がおすすめ♪




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魏書 荀彧荀攸賈詡列伝  続き

200年官渡の戦い、

「彧の策するが如し」袁紹軍の内部崩壊は荀彧が仕組んだ?





建安5年(200年)、荀彧37歳の時。曹操と袁紹の戦いは続いていた。
曹操は官渡を拠点に置いていたが、袁紹の大軍に包囲された。兵糧もそこをつき、
最早これまでと親書を荀彧宛にしたため、一旦許昌に戻ること、許昌に袁紹をおびき寄せそこで一気に叩くのだと伝えた。

荀彧の意見はこうだった。
「今は兵糧不足とはいえかつて項羽と劉邦が滎陽、成皋でにらみ合っていたときほどではありません。この時項羽も劉邦もどちらも先に引こうとはしませんでした。先に引いた方が体勢を崩し敗北するとわかっていたからです。これまで曹公は敵の十分の一の戦力で拠点を守り抜き、敵の喉元を押さえつけたまま半年経過しています。
今敵陣では統制がほころびかけています、この後必ず状況が変わってきます。奇策を用いるチャンスです。この機を逃してはなりませんぞ」


みいく謂えらく、荀彧ってまるで敵地で見てきたかのような言い方をするけど、実は本当に見てきたんじゃないのかなあと思う。荀彧て政治家色が強いけど、そういう裏工作、根回し系が得意で、だからこそ後方支援、諜報活動とかもしていたのかなあ。
のちの赤壁の戦いで周瑜が船団の下見に、自ら斥候に立つシーンがあるけど。軍師さんたちはそういうのもコミコミで仕事していたのかも。



曹操は撤退を取りやめ、袁紹の別の駐屯地に奇襲をかけ、武将の淳于瓊らを斬った。袁紹はついに敗退した。
その後、審配が許攸の家族が不正をした罪で、許攸の妻子を拘束してしまった。許攸はこのさばきに腹を立て、袁紹を見捨て曹操側に寝返った。
顔良、文醜は陣中で首を取られ、田豊は袁紹への諫言を理由に処刑されてしまった。
荀彧が策を施した通りになった。



みいく謂えらく、原文に「彧の策するが如し」となっているので「策を施した通りになった」と訳した。ここを従来通り、荀彧の予言とか人間観察力で済ましてしまうのはどうなんだろう。袁紹軍の内部崩壊は荀彧が仕組んだと読み取ったほうが素直かと。


荀彧は破壊工作や陣中をウロウロすることはないという、思い込みに思えてしまうんだけど。



もっと深読みするなら、カモフラージュだったりして。
曹操が常々、荀彧を張良になぞらえたり、帷幄の中で策を練るキャラにしてるだけで結構最前線で変装した荀彧にすれ違っていたりして。バレないように、曹操も荀彧は本拠地で留守番してるよん♪と、、、、まあ一種の流言ですな。



よく考えると荀彧様 こっわ。涼しげな表情なのにまさかの手練れ。
でもそんな危険な香りも素敵❤︎(みいく個人の見解ですw)





官渡の戦いを始める前に荀彧と孔融が袁紹の部下たちについて論じ合う




曹操が徐州を平定し、この戦いを始める前に荀彧と孔融が袁紹の部下たちについて論じ合ったという。建安3年(198年)荀彧35歳の時である。


孔融は荀彧に向かって、袁紹の方に勝算があると考えていた。
袁紹の方が領土が広く、兵力が多く、人材も豊富だからというのである。知謀の士として田豊、許攸、忠義の士として審配、逢紀、武将としては顔良、文醜がいる。とても敵う相手ではないと。




荀彧はこれに反論して兵力は多いが締まりはなく、人材が多いと言っても田豊は強情で主君に逆らい、許攸は私欲が強く、 審配は独断で、逢紀は向こう見ず、顔良、文醜だってありきたりな武将にすぎないと言い切った。実際官渡の戦いでは荀彧の見方通りのことが起きた。




みいく謂えらく、この解説だと許攸ががめついけど一番まともなので、そこから切り崩したかったんだろうか。














2020年8月8日土曜日

魏書 荀彧伝 08(現代語訳)~手中にあるは兗州と予州のみ!…曹操の憂いと鍾繇グッジョブ|橘花美郁三国志☆




魏書 荀彧伝 08(現代語訳)~映画、漫画、アニメで基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたいときは正史がおすすめ♪





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魏書 荀彧荀攸賈詡列伝  続き

兗州と予州のみで、天下の六分の五と戦わねばならなくなる
…曹操の憂いと鍾繇(しょうよう)グッジョブ





荀彧は続けてこう言った。
「それより先に呂布を抑えねば。奴を片付けねば河北は攻略できませんぞ」

「俺もそう思うが、袁紹は関中に進出して(北方の)羌族(きょうぞく)、胡族(こぞく)に反乱をそそのかすかもしれないし、南方の蜀、漢中を煽ってくるかもしれない。俺は兗州と予州のみで、天下の六分の五と戦わねばならなくなる。どうすればいいんだ」


「ご心配には及びません。関中には小マシな軍閥が10ほどありますが、如何せん一つにまとまることは難しいでしょう。その中で勢いがあるのは韓遂と馬超ですが、我らが東部で兵を動員すれば兵力温存策に出るでしょう。ひとまず恩賞を与え手なづけておくべきです。ずっと大人しくしてるとは思えませんが、こちらが東部を平定するまでの間くらいは十分でしょう。こういう西部の問題は鍾繇どのにおまかせあれば将軍の憂いは無くなります。」


鍾繇は元孝廉で漢の献帝に仕えていた。曹操が長安にいた献帝に初めて使者を送った時、李傕、郭汜の取りなしで使者は大事に扱ってもらえた。献帝の長安脱出には鍾繇の力が大きい。

曹操の要請を受け、関中入りした鍾繇は韓遂たちを説得し息子たちを都におくらせたほか馬二千頭を送ってよこした。
喜んだ曹操は「昔、漢の高祖が項羽と戦っている時、蕭何は関中を守って前線に兵隊や食料を送った。鍾繇殿の功績はそれに匹敵する」と。のちに鍾繇は前将軍、魏の建国後は相国に、曹操の息子、孫の代まで仕え重用された。



みいく注
献帝の長安脱出の際鍾繇が活躍している。鍾繇グッジョブ。動きを抑えるだけじゃなく人質までとるとは。この鍾繇、荀彧、陳羣は親戚ぐるみの付き合いをしていた。荀彧が手引きしたんだろうか。
鍾繇も同郷の潁川郡出身なので、許に遷都した方が便利だよな、仲間多いしって話になったのかしら。












【わかりみ】荀彧ってざっくり言うとどんな人?何した人なの?一人の男の決意と熱意の賜物~映画、漫画、アニメで基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたいときは正史がおすすめ♪|橘花美郁三国志☆

こんにちは!三国志ライター橘花みいくです! この記事は、 ●映画、アニメ、漫画で基本は押さえた!もっと知識を深めたい、知りたい ●原典読みたいけど漢文の知識ゼロでもだいじょうぶかな  ●日本語でも難しいのはイヤ、空き時間にサクッと読めるライトなやつが読みたい そんな方におすすめで...